マンション管理士は、コミュニティー形成の立役者

日本のマンションが今後置かれる状況のことを考えますと、マンション管理士は、そこに「永住」することを決めた、多くの居住者の方々と向き合うことになります(折衝の主な相手は、あくまで理事長さんや管理組合員ですが)。

「永住を決めた住居者のアドバイザー」になるとは、どういうことを意味するでしょうか?ここでは建物の老朽化の話は繰り返しません。お話ししたいのは、「生活コミュニティー」の形成のことです。

「そこに永住する」となれば、誰しも、その共同空間に愛着を持つようになるのが当然です。愛着が寄せられるのはもちろん空間だけではありません。上手に人間形成ができるのなら、人ですから、近隣の方々にも関心を寄せるようになるはずです。
「隣の部屋に誰が住んでいるのかさえ知らない」、いまは確かにそうした現実の方が多いのかもしれません。都市生活の負の側面といわれてきたそのような人間関係が、建物の老朽化や永住の必然性が理由で、将来的には温かい方向へ向かう可能性があるのです。

もちろん熱心な働きかけなしには、そうはならないでしょう。「住民間のトラブル」は、今日の集合住宅の問題のひとつでもあります。しかし、強い働きかけがあれば状況は変えられるはずです。
これもよろしくない話ですが、建物の老朽化と共に、そこに暮らす世帯の方々も、1年々々確実に年齢を重ねます。仕事が忙しく、「我が家は会社から帰り眠るためだけの場所」、という年齢を過ぎた人たちは、むしろ近隣にこそ温かい人間関係を求めるのが自然ではないでしょうか。

現在すでに管理組合活動が活発なマンションもあります。そうしたコミュニティーでは、バーベキュー大会や子どもたちの花火大会、フリーマーケットなどを催したりして、近隣間の親睦が大事にされています。でも日本全体でみると、そのよう親しい間柄で結ばれている集合住宅は、まだまだごく一握りでしょう。多くのマンションは、「住民間のトラブルが悩みの種」、まだどちらかと言えばその部類に入ると思います。

その理由は、管理組合の理事長さんの選出が、一般的には1年間の輪番制(持ち回り)であったりするからです。1年過ぎると総責任者がまた新しい人に替ってしまう。マンションにコミュニティーが生まれるよう、何年も続けて働きかけられる人がこれまではいなかったのです。
しかしこれからは違います。建物老朽化への備えを円満に行えるコミュニティーをつくるために、何年でも継続して理事長さんをサポートするアドバイザーが必要になります。それがマンション管理士です。

情報化が進むこの世の中ですから、集合住宅に暮らす方々を結び合わせる働きかけは、なにも催し物だけではないはずです。たとえば居住者専用のメーリングリストを立ち上げて意見の交流を促すというやり方もそのひとつです。
Webで結ばれていれば修繕計画の打診などはもちろんのこと、地域の役立つ生活情報などの交換もできます。マンション管理組合を交流の場に変えられるかもしれません。一時だけのバーベキュー大会よりも、お困りごとや疑問をサイトにアップし、日頃からお互いが助け合う関係の方が、コミュニティー形成にはずっと効果が高いと私は思います。

ここで一棟が80戸、100戸のマンションを、それぞれひとつの町内会、商店街だとイメージしてみてください。管理組合の理事長さんは、さながら町内会長さんです。そしてマンション管理士であるあなたは、会長さんのサポート役です。そう考えてみますとどうでしょう。
村輿し、町興しではないですが、4つ5つの商店街(マンション)の課題を継続してサポートすることで、自分も安定して食べていける…。実はマンション管理士が、そのようコンサル色のつよい専門職であり、人と人の間に橋を架ける人間味に溢れた仕事であることがわかってくるはずです。